ここでは、ハクキンカイロやその他のカイロに関するものしり知識を紹介します。
●ハクキンカイロもかつてはテレビCMを打っていました。CMタレントは、
ハクキンカイロA(点火芯なし)ダークダックス 白黒放送→
ハクキンカイロ点火芯付A 高橋圭三→大橋巨泉→小島三児→三橋達也→平山磨美→ミスターランゲ→ドリフタ−ズ(忠臣蔵バージョン)→こはる
おーさむこさむ(こはるを抱いて春を待つ)
思ったよりタレントは豪華でした。
●消費者販売で買える中綿は、意表をついて点火芯付A用のみです。点火芯が付いているので、3Rはひき抜いてから綿を詰めます。BM用綿は商品としては存在しないらしく、「点火芯付A用を切って使う」というのがハクキンカイロの公式なサポートのようです。....って縦横だけじゃなくて厚さまで違うんですけど(笑)。ほとんどの方は普通の脱脂綿を詰めてしまっているようです。
●3Rユーザーだけれども、BMのような布の袋が欲しいというときは、消費者販売(ハクキンカイロ直販)で買えます。もともとはPEACOCK#S用のようです。紺色のものが来るという情報があります。
●ハクキンカイロ本体は形が微妙で、特に、クチの部分の成型が非常に難しいらしく、最近、この形に絞れる職人がいなくなってしまった模様です。現在では、東京都の岡野工業という会社がハクキンカイロの本体部分を製造しています。が、とても忙しい会社らしく、すぐには増産ができないようです。ハクキンカイロ通販がしょっちゅう品切れを起こすのも、これが原因かと思われます。(訂正)ハクキンと岡野工業は取引がないという指摘を受けました。なお、上記取り消し線部分は一定期間経過後、削除します。なお、岡野工業にはこの件に関してメールで問い合わせを行いましたが、返答はありませんでした。
●ライター用オイル(ナフサ)、カイロ用ベンジン、ホワイトガソリンは、ほとんど成分が同じです。が、揮発のしやすさが違います。揮発しやすいホワイトガソリンは、燃焼せずに揮発してしまう成分が多いため、カイロに使うとにおいが強く、もちも短くなります。Zippoライター用オイルは、揮発しにくい成分が多く含まれ、カイロに使うとにおいが少なく、もち時間も(純正に比べ)長めになります。
●大昔の非純正カイロ用ベンジンには、まともに点火できなかったり、数回使うと火口がだめになってしまうような粗悪品がありました。(経験者は語る)
●ハクキンカイロのサイトのA火口のところに「青函」とあります(2004年のリニューアルで消えちゃいましたが)。ハクキンカイロと青函連絡船に何の関係が!?と思ったら、ハクキンカイロA型の箱(函)が青かった、という理由だそうで、なるほど、サイトのA型の箱は確かに青いです。
●カイロ用燃料は飛行機には乗せられないので(預け入れ荷物でも不可)、海外での利用の際は現地でZippoオイルを買う必要があります。
●点火芯付Aの別珍袋は出荷時期により色や柄が異なります。
●3Rは初期版と後期版があります。かなり細かい違いがいくつかあり、それぞれの変更が少しずつ違う時期に行われたようです。また、生産ラインが古いパーツを使い切ってから新しいパーツを使うようになっていないらしく、それぞれの新旧のパーツが混じったいろんなモデルがあります。詳細は3Rのページをごらんください。
ハクキンカイロは火を使うので危険・怖い、などのイメージのある人もいるようなので、インターネットでさんざん検索しまくりましたが、確認できた事故例は国内で1例でした。その1例を紹介します。
1975年2月、鈴鹿市。ハクキンカイロに点火しようとしたところ、こぼれたベンジンに引火、たたき消そうとしてベンジン容器を倒して2棟全焼1棟半焼。計206平米を焼く。この例は自分で消そうとして通報が遅れたのが火事が大きくなった原因のようです。
「1992年12月、那珂湊市(当時)。病院で高気圧酸素治療室に患者がハクキンカイロを持ち込み焼死。(訂正)持ち込まれたカイロはハクキンカイロ製でないとの指摘を受けました。なお、この項目を書く際に、情報源として2003年11月5日付常陽新聞(オンライン版)を使用しました(現在この記事は閲覧できません)。一定期間経過後、上記取り消し線部分及びそれに付随する本かぎかっこ内の内容は削除します。(追記)当時の1992年12月30日付朝日新聞には、カイロのことは書いてありませんでした。常陽新聞は未確認です。」
海外の例はよくわかりませんでしたが1997年より以前にイタリアで高気圧酸素治療室でハクキンカイロによる火災があったようです。
高気圧酸素治療室でカイロによる火災は国内では3例あるそうですが、使い捨てカイロによるもののようです。
そんなわけで、きちんと使いさえすればそんなに危険ではなさそうです。どうしても心配な方は3Rプラチナムでも使えばさらに安全でしょう。
これ以外の例がありましたら御連絡ください。
こういう内容を書くと、またどこかで「火災例がある。ハクキンカイロは危ない!危ない!」とか騒ぐ方がいそうなので念のために書いておきますが、使い捨てカイロでも火災は起きています。そういうことを言ってると何も使えなくなりますので、他所で本件を話題にする際は必ず情報元を明らかにした上で、ハクキンカイロの事例だけが誇張して伝わることのないよう特に御注意ください。
日本カイロ工業会サイトにカイロの歴史とかが書いてあります(ハクキンカイロは非加盟です)。ただ、使い捨てカイロの会なのでそっちの話がメインです。
工業会サイトでは、江戸時代のカイロは温石といって火の中に入れた石を懐中したということになっていますが、1694(元禄7)年刊の「西鶴織留」(井原西鶴)巻一の二に、灰式カイロについての記述が既にあります。またこの本は遺稿集であり、研究の結果、1688(元禄元)年に書かれたものらしいということも分かっているようです。このことから、1688年には日本に灰式カイロがあったことが分かります。もちろん、温石や、石だけでなく塩も一緒に焼いたものを携帯したり、江戸時代の人は江戸時代の人なりにさまざまな工夫をしていたようです。
西鶴織留の懐炉の記述は、「現代語訳西鶴全集9」暉峻康隆(1977)によるとざっと次のとおりです。大阪の藁草履屋が金貸しに金を借りにいったら断られ、みやげをつけたりおべっかをつかったりしてやっと借りられたが、みやげもの代が高くつきすぎてばかばかしくなり、店は売り払って細々と寺子屋などをしてとりあえず暮らせるだけの金を稼いでいた。やがてそれもうまくいかなくなり、困り果てていたある日、鍋の下の熾き火が翌日まで残っていたので不思議に思ったところ、茄子の木と犬蓼の茎を燃やした灰なので火の消えないことが分かった。そこで無一文で江戸に下り、銅細工の職人と相談して懐炉と懐炉灰を作って売り出したら大もうけした、という記述です。名を林勘兵衛といい、出した看板は「御火鉢、煙草盆の火入れの長持灰(ちょうじばい)」という文句だったそうです。当時は暖をとるだけでなく、種火を持ち歩いたり、煙草を吸うのに使ったり、今より用途が多かったことも分かります。
記述では林勘兵衛が長者になり、諸国大名が続々と金を借りに来たが、金が底をつくことはなかった。貧乏な時代にやりくりをしてくれた嫁さんを、今でもとっても大切にしている。という記述があることから、懐炉の歴史はさらに数年はさかのぼることになりそうです。
工業会サイトでは、麻殻灰のカイロのことだけが載っていますが、この「西鶴織留」の記述から、実際には麻殻以外の灰からもさまざまなカイロ灰が作られていた、ということも分かります。明治期以降は、灰や炭に助燃剤を混ぜて作られていたようです。灰式カイロのことを炭式、あるいは木炭式カイロと呼ぶ人もいます。
大正期には1923(大正12)年にハクキンカイロが発売になっています。
1978(昭和53)年、最初に使い捨てカイロを開発したロッテ電子工業のページには、自分で使い捨てカイロを作ってみよう的なページがあります。理科実験とかにはよいかもしれません。
マイコールは、今は使い捨てカイロ専業ですが、かつては麻殻灰カイロのメーカーで、カイロ用灰も作っていました。サイトに当時の製品の写真があります。この会社は廃盤のものも含めた自社カイロ製品の資料館を持っています。同じく工業会加盟の桐灰化学も桐灰を使ったカイロを最後まで製造していましたが、今は使い捨てのみのメーカーになっているようです。
現在、国内で灰式カイロ・カイロ灰を作っているのは、楠灰製造のみのようです。ただしこの会社、小売はやってません(卸のみです)。
天体写真を撮る人は、撮影機材の凍結防止に灰式カイロ(チャコール式と呼ぶ人が多かったです)を愛用する人が多いと聞きます。使い捨ては温度が上がらないし、ハクキンカイロは立ち消えするから、ということのようですが、サイトをめぐるとハクキンカイロを2,3個カメラにくくりつけてタオルでぐるぐる巻きにしておけば1個か2個は絶対に消えずに残ってるからそっちのほうがいい、という人もいました。意外にハクキンカイロが立ち消えした話をしている人は少なかったです。逆に灰式カイロの立ち消えの話が思ったより多かったです。灰式カイロの燃料(カイロ灰)は飛行機には持ち込めませんので、海外の寒冷地で天体写真を撮る場合の選択肢はハクキンカイロしかありません(現地でZippoオイルを購入する)。カイロ本体も、ベンジンの臭いがすると持ち込めません。その場合、飛行場で綿をかき出し、(こうすると持ち込めます)旅先で脱脂綿を買って詰めます。ハクキンカイロ純正換綿を用意していってもよいでしょう。