ロゴの部分をお見せするためと、全火口の大きさを同時に比較していただくため、他のページに比べ画像が大きくなっています。下の小さな写真か、「ここ」を押してください。大きな画像が表示されます。
違う時期にスキャンしたものを合成したので、1行目と2行目以降に同型火口が並んでいたり背景の色が違ってたりしますが気にしないでください。縮尺は1行目と2行目以降は同じはずです。
最上段は戦後のA火口系列です。なお、「2本爪火口」という表現は、ハクキンカイロの正式な名称ではありません。当時は火口が1種類しかなかったので、火口に名前はつけられず、単に「ハクキンカイロ換火口」と呼ばれていましたが、それでは他の火口と区別しにくいので当サイト作者が暫定的にこのように命名しました。表面についている横長の切り込み(触媒部分を押さえる爪)が、表と裏に合わせて2本あるのが命名の由来です。
2行目は同じくA火口系列です。戦前のものも入ってます。戦前U火口のロゴは「ンキクハ」、残りの3種は「ハクキン」です。
この4種と上段のU火口は、底の形と大きさは同じです。基本的に現在の3R火口と互換性があり、これらの火口を使っているモデルに3R火口は付きます。ただし、1mm以下の微妙な差があって、これらの火口がついていた本体に3R火口をつけようとするとたまにつかないことがあります。対処方法はこちら。
2行目一番右は、昭和初期のスライド式火口です。実は、戦前の2本爪火口と同じものです。ただし、レールの高さが時代により微妙に異なり、戦後の2本爪火口をスライド式本体に挿入しようとすると、えらくきつかったり、レールの高さが合わなかったりすることがあります。現在、スライド式火口は製造販売されていないので、本体がスライド式の場合、火口はこはる火口で代替します。
3段目は3R系列火口です。A系列火口と大きさはほぼ同じですが、1mm以下の微妙な違いがあり、U/UU/A火口モデルに現行3R火口などはつくときとつかないときがあります。対処方法はこちら。
当時の説明書によると、点火芯付A火口は、A火口に比べ熱量20%アップで寿命は2倍とのことです。
4段目は特殊な火口です。#G火口を2つ載せていますが、一番右が旧#G火口です。石綿の外側を、ガラス繊維でくるんであるのと、右端に点火芯がついているのが特徴です。恐らく、この点火芯がない火口が存在し、恐らくそれが最も古い#G火口だろうと推測されます。また、日本と同じように、点火芯が中央にあるモデルが存在する可能性もあります。#G火口は、刻印が2行になっているのが特徴です。Zippo2003,2004火口はごらんのように、完璧に3R火口と同じで刻印の違いだけです。
5段目も特殊な火口です。BM火口とZippo2002火口は、形は違いますが完全互換です。Zippo2002では、交換用の火口(バーナー)は、正式にハクキンカイロ製のBM火口を使え、というのが販売元のマルカイコーポレーションの公式なアナウンスです(純正品も2005年に発売されました)。4段目一番右のこはる火口の右下にあるのは点火チェック用インジケーターです。この機種は、火口にチェッカーがついています。
これ以外にも火口が存在した可能性はあります。特に、大正期あたりにもう数種類ありそうです。
刻印ですが、基本的に表のみを写しましたが、裏に「MADE IN JAPAN」やパテントナンバー、「PAT.PEND.」の文字が入っている火口も複数あります。
火口の裏の写真です。似てても結構違います。下の小さな写真か、ここを押してください。大きな画像が表示されます。
最近のガラスマット式火口でも、出荷時期やロットによって少しずつ小改良が行われているのがわかります。たとえば、3Rの初期はただ中央に楕円形の穴があいているだけですが、後期では端に四角い穴がもう1つ加わっていたりします。このような形状の穴の開き方は、こはるやBMでは前からだったようです。が、サイト作者のこはるとBMはどれも2003年以降出荷の新しいものなので、古いロットのものは違うかもしれません。
ここでは案内しませんでしたが、Zippoの火口の裏は、2002は当然、BMと同じでしたが、2003は3R現行型と、2004は3R初期型と同じでした。何故、新しい2004のほうが、ハクキンの旧ロットと同じ穴なのかはよくわかりません。作っている途中で混ざっちゃったのか、指定燃料が違うので敢えてそのようにしたのか、謎は深まるばかりです。もし、穴の開き方が違うモデルをお持ちの方はサイト作者までお知らせください。
A系列火口は、時代による裏の差はあまりないようです。触媒を包んでいる針金は、だいたい7回巻いてあったようです。
ちょっと面白いのは、点火芯付Aで、初期だけ裏の留め金が金色にきらきら輝いています。
そして海外火口ですが、海外のものは1960年代以降、日本のA火口を、ガラス繊維を布状に織ったものでくるんでありました。が、底から見ると、ガラス繊維はありません(裏にまで巻いてあるロット品もあります)。ガラス繊維で巻いたのは、火口でタバコに火をつける際に、火口が劣化するのを防ぐためのようです。(ハクキンカイロの海外向け製品には、タバコの点火にも使えることを売りにしているモデルがいくつかありました)火口の裏にはそういう細工をする必要がないのでしてないのでしょう。
この、外側をガラス繊維でくるんだ火口は、国内でも「スーパー火口」という名で販売はされましたが、高かったのであまり売れなかったようです。
海外#S火口は、上の写真には並んでいませんが、だいたい、上の#G火口(脇点火芯付き)の点火芯がなくなってA火口と同じ大きさになったものだと思ってください。海外向けモデルだけにあった、点火芯付火口(火口に直接点火芯がついている)の点火芯のつきかたがよくわかると思います。が、海外#S火口には、外見はガラス繊維で包んであるのに、裏は日本の点火芯付A火口と同じように、留め金で包んである、という形状のものもありました。
次の写真は、戦後の火口の変遷の模様の紹介です。写真かここをクリックすると大きな画像が表示されます。
それぞれ上段から表面、裏面、底を下から見たところです。何故この写真だけ裏面の写真を撮ったかというと、実は、U火口だけは、表面と裏面の形が全く違うのです。裏には中央に「U」型のくぼみがあります。これがU火口の名称の由来です。
一方、UU火口になると、「U」型のくぼみが表面にも裏面にもあります。Uのくぼみが2つあるから「UU火口」という名になりました。A火口にもU型のくぼみは同様に表裏に1つずつあります。
戦後2本爪火口までの時代は、火口の端に火をつけるのが正しい着け方でした。ところがU火口になると、中央部分のU型のくぼみのところにマッチの火を当てるのが正しい着け方になります。こちら(U火口)のほうが、点火にかかる時間も短くなったそうです。
下の写真を見てください。黄色いところが、点火時にマッチの火を当てる部分です。