海外向けモデル説明ページ


ここでは、主に海外向けモデルの説明をしますが、さすがに全モデルの画像を手に入れることはできなかったので、紹介だけのものも多いです。だいたい時代別に紹介いたします。また、これ以外のモデルがたくさんある可能性があります。


1923〜1945年
この時代のことはよく分かりません。1945年以前に日本で販売されたモデルの中に、英語や中国語の説明書が一緒についていたことから、恐らく、日本向けモデルをそのまま輸出していたのではないか、と思います。もしそうなら、当時のブランド名は、「PLATINUM」「HAKUKIN」です。


1940年代後半くらい

この時代からハクキンカイロ(当時の屋号は矢満登商会)は本格的に輸出を始めますが、最初のうちはカイロ本体にハクキンカイロのブランド名刻印はされず、現地の輸入業者が用意した箱に詰めて出荷されていました。下記のモデルには「MADE IN OCCUPIED JAPAN」(占領統治下の日本製)という刻印があります。この刻印は、日本が敗戦してから独立を回復するまでの1947年2月20日から1952年4月27日までしか使われなかったそうなので、この時代に製造されたのは間違いありません(この刻印がされているのは1945年から1952年までだといわれることがありますが、GHQの命令が出たのは上記の日付のようです)。反対側はパテントナンバー刻印でした。2本爪火口がついていますが、火口にもハクキンの刻印はなく、「MADE IN JAPAN」の刻印だけがあります。現行の3R用火口・消耗品が使えます。
複数の輸入業者があったらしく、業者によっては自社のブランド名をフタに刻印させたものもあります。が、全部は解明できていません。
写真は刻印が分かるよう少し大きくしてみましたが大きすぎたかもしれません。
この時代に既に深絞りモデルがあったこともわかります。(もっとも戦前にもあったらしいのですが)


1950年代後半から1960年代

この時期が北米向け輸出がもっともさかんだったようです。「PEACOCK」の自社ブランド名をつけたものが多く流通しています。ただし、輸入代理店や輸入業者によっては、自社の刻印を入れさせたものもあります。ややこしいのですが、箱には自社の名を書かせ、カイロの刻印はPEACOCK刻印というものもあります。また、箱も刻印も輸入業者名で、箱の一部に「PEACOCK」のロゴとマークがある、というモデルもあります。
写真では2種類しか掲示してありませんが、この時代にロゴの刻印をつけさせた会社はほかにも数社はあったようです。刻印や火口の亜種が非常に多い時代です。

下の写真はこの時代にあった6機種のうち3機種です。
左から#GP1(のちの#G)、#SP1(のちの#S)、#CW(#SP1にタバコの点火穴(シガレットホール)がついたもの)の3つです。これ以外に、#B1(のちの#B)、#CL1(コンパクトの海外向け)、#SSW(のちの#D)の3機種があったようです。
火口は、#SP1、#CW、#B1、#CL1が#NSB火口(国内のA火口にほぼ相当)がついています。これらの機種は現行の3R火口・消耗品がつかえます。
#GP1と#SSWには#NGB火口(国内の#G火口にほぼ相当)がついています。現行の#G火口が使用可能です。

ただよく見ていただくとわかるとおり、日本の火口とはかなり異なっています。簡単に書くと、A火口の外側を、ガラス繊維で編んだ布で包んだような形になっています。この写真では見えにくいのですが、#NGB火口の右端には、火口そのものに点火芯がついています。この火口の詳しい写真は、火口一覧ページにあるのでそちらもごらんください。
右の#CWは、火口には点火芯がありませんが、本体から(ちょうど、日本向けのコンパクトのように)点火芯が出ているというモデルです。こんなふうに、この時代は、火口がいきなりガラス繊維で包まれたり、脇に点火芯がついたり、点火芯がなくなって本体に点火芯がついたり、いろいろとマイナーチェンジの多かった時代だというのも分かります。

さらに販売店によっては、フタの模様を自社でデザインしたところもありました。下の写真は販売店名の刻印があり、孔雀の模様がありませんが、ハクキンカイロ製です。火口にも、販売店名とMADE IN JAPANの2行の刻印があり、PEACOCK等のハクキンカイロ製を示すロゴはありません。この「×」印のデザインのものは、この販売店で売ったモデルだけで使われていました。


1970年代のハクキンカイロが海外市場でどうしていたのかは実はよくわかりません。写真はいきなりほぼ現代のものに飛びます。左から、#S、#D、#Bです。それぞれ、3R用、#G用、3R用の火口が使えます。火口も、どういうものがついていたのか謎です。写真のものはマット式火口になっていますが、これらはハクキンカイロが21世紀になってから在庫品を限定再発売した際に火口を現行のものに差し替えたためで、日本の点火芯付A火口のような火口のモデルがあったのかどうかが謎のままです。北米向けには点火芯付A(やそれに類する)ガラス繊維式火口モデルは販売されたことはなく、上記の#NSB火口モデルからいきなり現行火口モデルになったらしい、ということになっています。が、#Bや#Dのパッケージの写真にある火口は確かに点火芯付A火口ですし、#Bのタンクのクチには点火芯をつけるための穴もあいています。北米以外の地域には、点火芯付A火口モデルが販売されていたのかもしれません。

この時代になると、あの、60年代のようなさまざまな刻印はもうありません。販売されていたモデルは、下記の写真の3機種+#Gの計4機種です。#Dと#Bは、写真だと同じ大きさに見えますが、#Dのほうは厚みがかなりあり、火口も#G用の大きなものがついていて、かなり高温になります。

#NSB火口時代に比べると、フタの穴の数がだいぶ減っているのは日本向けモデルと同じです。これは火口の性能が上がったためです。

下記の3機種には専用ページをつくっておきましたのでごらんください。

PEACOCK#S  PEACOCK #D(Deluxe) PEACOCK #B(Baby Size) 

PEACOCK#Gのページもあります)


ベンジン式カイロのメーカーは、ハクキンカイロだけではありません。日本では1社になってしまいましたが、海外では同じようなものを作っている全くの別会社がいくつかあります。大昔は日本にも数社あったようです。さらに、後発他社は火口をハクキンカイロの形状互換にしていることが多いです。このため、よく似てはいるがハクキンカイロ製でないというモデルが多くあります。中にはハクキンカイロの孔雀模様にによく似たものもあります。種類はあまりに膨大にあるので、当サイトでは紹介いたしません(というか多すぎてできません....)


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